とある昆虫研究者のメモ


ようこそ!

 このブログでは私が面白いと思った論文を紹介しています。昆虫関係の論文を紹介することが多いのですが、その他の論文に関しても紹介していますし、日々の出来事もつれづれに書いています。

現在、無期限休止中です。参考になる記事もあるかと思いますので記事は公開しています。
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# by g-hop | 2010-12-31 17:40 | 日記


足音から進化した音響シグナル




The evolutionary origins of ritualized acoustic signals in caterpillars
Jaclyn L. Scott, Akito Y. Kawahara, Jeffrey H. Skevington,Shen-Horn Yen, Abeer Sami, Myron L. Smith, Jayne E. Yack
Journal name: Nature Communications
Volume:1,Article number:4

生物は様々な方法でコミュニケーションをとる。視覚、聴覚、化学物質など様々な方法でコミュニケーションが行われている。初めは種内コミュニケーションと直接関係のない形質の「儀式化」が進化の過程で起こり、コミュニケーションの進化が起こると考えられているが、その進化の道筋について具体的な道筋が示された例はごく少ない。

上記論文ではカギバガ科の蛾の幼虫を材料に、種内競合が起こる際に発音する種、しない種の系統関係を調べ、各形質との関係について考察している。

競合の際に発音する種では、幼虫の最後部の腹節に発音に関与するオール状の発音器官が存在し、腹脚は無かった。一方、発音しない種では同じ腹節に腹脚が存在していた。系統関係の解析では、腹脚が存在するものが祖先的であり、その後、腹脚を失ったものの中から、発音に必要なオール状器官を獲得したものが出現したことが示唆された。積極的に発音せず、最後部の腹節を移動のために用いている祖先的な種でも、移動の際には音が発生する。

以上の結果は歩行時に発生する音が、後のより強調された音響シグナルの進化の源となった可能性を示したものであり、個体間シグナルの進化を考える上で大変興味深いと感じた。


←現在4位です。ありがとうございます。
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# by g-hop | 2010-04-19 19:24 | 昆虫関係論文


細菌によって作られる緑の島




Plant green-island phenotype induced by leaf-miners is mediated by bacterial symbionts.
Kaiser W, Huguet E, Casas J, Commin C, Giron D.
Proc Biol Sci. 2010 Mar 31. [Epub ahead of print]PMID: 20356892 [PubMed - as supplied by publisher]

秋になると落葉広葉樹の多くは紅葉する。他の葉を食べる昆虫同様、紅葉は葉の中に潜り込んで葉を中から食べる蛾(ハモグリガ)の幼虫にとっては困った事態である。まだ緑の葉を求めて動き回ることの出来ないぶん、紅葉はハモグリガの幼虫にとって他の昆虫よりも深刻な事態であると言えるだろう。

ハモグリガの中には変わった方法で紅葉に対抗するものがいる。Green-islandと呼ばれる現象を引き起こすのである。

Green-islandとはその名の通り、紅葉する葉の中で、蛾の幼虫が潜り込んでいる周辺だけが島のように緑に保たれる現象だ。以前からGreen-island部では植物ホルモンであるサイトカイニンが多く含まれることが知られていた。蛾の幼虫は何らかの方法でサイトカイニンを多く保つことで葉を緑に保っていると考えられるがそのメカニズムはわかっていない。

上記論文の著者らは抗生物質で処理するとGreen-islandが形成されなくなることを見出した。この結果は何らかの細菌がGreen-island形成に関与していることを示唆している。蛾の体内からは通常、ボルバキアが見出されるが、抗生物質処理によってボルバキアは消失した。ボルバキアゲノムからはサイトカイニン合成に関連する遺伝子(tRNA-IPT)が見つかっており、ボルバキアがGreen-island形成に関与している可能性が示唆された。

とても興味深い結果だと思うし、細菌の関与も間違いないとは感じるんだけど、ボルバキアの関与については自分はまだ完全には信じられない。一度培養細胞に持ち込んで、抗生物質処理した虫への再感染実験とか難しいのかな。


←のんびりですが再開します。
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# by g-hop | 2010-04-13 20:42 | 昆虫関係論文


クマムシゲノム




クマムシのゲノム解読=固有遺伝子多数、乾燥耐性解明へ-東大など

前のラボで一緒だったH君はヨコヅナクマムシ(当時はツメボソヤマクマムシと呼んでいたはずだが、ヨコヅナの方がカッコ良いから変えたんだろうw)の飼育法確立のために日夜頑張っていた。

ヨコヅナクマムシはオニクマムシのように可愛くないのが大きな難点だと思うが、研究をする上ではむしろ好ましい形質と言えるかも知れない。


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# by g-hop | 2009-12-10 20:31 | クリプトビオシス関係


カメムシの幼若ホルモン





Structure determination of a new juvenile hormone from a heteropteran insect.

Kotaki T, Shinada T, Kaihara K, Ohfune Y, Numata H.
Org Lett. 2009 Nov 19;11(22):5234-7.PMID: 19863071 [PubMed - in process]Related articlesFree article

幼若ホルモン(Juvenile hormone:JH)は昆虫の変態や生殖、表現型多型など様々な形質に影響を及ぼすセスキテルペンである。JHはV. B. Wigglesworth 博士により1934年に吸血性サシガメRhodnius prolixusから発見された。JHを塗布した部分は表皮の幼虫形質が保たれるので、博士は自らのイニシャルをサシガメに「落書き」することで塗布された部分のみが鋭敏にホルモンに反応することを示した

JHの構造はその後、様々な昆虫で明らかにされていったが、カメムシの属する半翅目の異翅亜目では典型的なJHと構造が異なることが示されていたもののその構造は明らかでなかった。上記論文ではWigglesworth元祖のJHもと言える異翅亜目のJHの構造について報告している。

チャバネアオカメムシからJHの産生器官であるアラタ体を取り出して培養し、培地中に放出された生産物をMSで解析。分子量から構造を推定し、不斉合成によって作成したJHライブラリーに含まれる分子の生理活性検定と、キラルカラムによる候補化合物と天然物の比較により、カメムシのJHはJuvenile hormone III skipped bisepoxide( JHSB3)であることが明らかとなった。

昆虫学の教科書に記載される重要な研究であることは間違いない。

ところでカメムシのJHに関する話については大分前の日記で触れていた。不斉合成でライブラリを作成し、そこからアッセイなんて話はあの時には出なかった筈。化学分野については疎いのだけれど、とても面白い手法だと感じた。


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# by g-hop | 2009-12-09 18:59 | 昆虫関係論文


<学研>「学習」「科学」の休刊を発表




<学研>「学習」「科学」の休刊を発表 老舗学習誌

仕方ないのだろうけれど、寂しいものだ。私は「科学」の方を買ってもらっていた。最近のは見た事ないけれど、内容的にはどうだったのかな。



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# by g-hop | 2009-12-03 21:08 | 日記


やまちゃん




美味しいトンコツラーメンを探している。私はトンコツラーメンは豚臭いのが好きなのだけれど世の中はそういうラーメンを嫌う傾向があるようで、最近そういうお店は少ない。

そんな中、東銀座のやまちゃんのスープは豚臭いと聞いたので行ってみた。

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うーん。豚臭くない(笑)。大体店内に入って豚臭くないのだからその時点で帰ってくるべきだったのかも。

豚臭くないだけならまあ良いのだけれど、僕の感覚ではこのスープはなんか薄い。でも、九州の知り合いまでもが「こういうのが本場の味」って言うし、私の感覚がずれてるんだろうか。

神戸時代に良く行った灘の「しぇからしか」みたいな味を求めているんだけど。

東京で豚臭いトンコツ出す店を知りませんか?


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# by g-hop | 2009-11-14 14:56 | のみくい


カイコの系統間のゲノム比較





Complete resequencing of 40 genomes reveals domestication events and genes in silkworm (Bombyx).

Xia Q, Guo Y, Zhang Z, Li D, Xuan Z, Li Z, Dai F, Li Y, Cheng D, Li R, Cheng T, Jiang T, Becquet C, Xu X, Liu C, Zha X, Fan W, Lin Y, Shen Y, Jiang L, Jensen J, Hellmann I, Tang S, Zhao P, Xu H, Yu C, Zhang G, Li J, Cao J, Liu S, He N, Zhou Y, Liu H, Zhao J, Ye C, Du Z, Pan G, Zhao A, Shao H, Zeng W, Wu P, Li C, Pan M, Li J, Yin X, Li D, Wang J, Zheng H, Wang W, Zhang X, Li S, Yang H, Lu C, Nielsen R, Zhou Z, Wang J, Xiang Z, Wang J.
Science. 2009 Oct 16;326(5951):433-6. Epub 2009 Aug 27.

カイコガ(以下カイコ)は中国において野生のクワコ(写真:虫央堂さん)より選抜され、絹生産用に家畜化された蛾である。考古学的な研究により、養蚕の歴史は少なくとも5000年以上であることが明らかになっているが、家畜化の初期過程がどのように進んで行ったのかは明らかではない。養蚕は多地域で同時多発的に起こったのか、それとも一部の地域で始まりその後で広まったのだろうか。

上記論文では29系統のカイコ、及び11系統のクワコを材料にゲノムの比較を行い、家畜化の過程を検討した。その結果、カイコは野生のクワコとは明確に区別された。このことはカイコの起源が多地域でないことを示唆する(但し、クワコのサンプリング地点には偏りがある)。また、その遺伝的多様性はクワコよりは小さいものの、比較的大きなものであった。この結果は家畜化が比較的大きな個体数を用いて行われ、その後も多様性が維持されたことを示唆している。鱗翅目昆虫は比較的近親交配による悪影響が出やすいと聞く。小さな個体数を用いた試みは失敗に終わったのかもしれない。

家畜化に伴って選択された遺伝子についても今回の解析で明らかになった。絹生産に関わる遺伝子に加えて、ショウジョウバエで飛翔に関連していると考えられるparamyosinなどの遺伝子が明らかになった点は興味深く感じる。

今回解析された系統は化性や休眠性、体色などについても多様な筈で、詳細にデータを比較することで様々な形質に関連する遺伝子の候補が明らかになるだろう。使いようによっては宝の山なのではないだろうか。


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# by g-hop | 2009-11-13 19:13 | 昆虫関係論文


はかりめ:穴子丼(白)




銀座の穴子専門店、「はかりめ」。

独りだったけど通されたのは2人用の個室。こういう空間は好き。

穴子丼は通常タイプの赤と変わり種の白がある。

上手く写真が撮れなかったのだけれど、白は出汁で炊いた穴子をご飯に載せ、鰹出汁の餡がかけてある。その上にはさらに揚げ海苔がトッピングされており、山葵と柚子胡椒が添えられている。

シンプルな組成だがこれが旨い。

穴子のふくよかな旨味に鰹の旨味が上品に寄り添い、揚げ海苔が香ばしさと共に磯の香りを加えさらに食感的なアクセントにもなっている。

ある程度食べ進んだら山葵と柚子胡椒を加えれば、最後まで飽きずに食べ進めることができる。

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# by g-hop | 2009-10-31 17:46 | のみくい


RASA:ビーフカレー




築地コンワビル地下のカレースタンド、RASA。

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ビーフカレーは¥900。

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安くはないけれど、カレーは真面目につくると結構材料費がかかるんで、ちゃんとしたカレーが市民権を得てきたというのは良いことだと思う。

肉以外のものは溶けている。液体と化した野菜たちのウマミを十分に感じるし、肉のコクが大変強いのが特徴的。感じとしてはビーフシチューとカレーの間といった風情。

肉も適度に歯ごたえを残したものがゴロゴロ入っていて満足。インドカレーと店には書いてあるけれど系統としては欧風。辛口とありましたが辛さに弱い私でも美味しく食べられた。

カレーポットで供される点もノスタルジックで良い感じ。水もきりっと冷えていてグラスには結露。こうでなければ。

ポークカリーとカツカリーが同じ価格だったり謎が多く残された店でもあるので(笑)、また訪れたい。

客層は渋めのサラリーマン中心。


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# by g-hop | 2009-10-31 17:36 | のみくい

    

とある昆虫研究者のメモと日記。主に面白いと思った論文の紹介をしています。リンクフリー。コメント大歓迎。
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