アブラムシの中にはコロニーの防衛をしたり、巣の掃除をするカーストを持つものがいます。アブラムシの無性世代は組み換えを伴わない単為生殖で増えるので、利他的な行動が進化する背景は十分にあるのです。
モンゼンイスアブラムシはイスノキに虫こぶ(ゴール)を形成し、その中に住みます。ゴールの内部は安全で、アブラムシはその中で栄養を摂取して増殖します。しかし、安全なゴールも時にイモムシに齧られたりして損傷することがあるのです。
開いた穴をそのままにしておくわけにはいきません。彼女達にとってゴールは食料であり城なのです。アブラムシは如何にしてゴールを修復するのでしょうか。本日紹介するのは、アブラムシの壮絶なゴール修復の方法です。
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Self-sacrificing gall repair by aphid nymphs.Proc Biol Sci. 2003 Aug 7;270 Suppl 1:S12-4.
Kurosu U, Aoki S, Fukatsu T.
お話はシンプルですが、それ故に壮絶な印象を我々に与えます。
実験的にゴールに穴を開けると一齢幼虫の兵個体が損傷した穴に集まります。そして角状管と呼ばれる腹部にある管(通常はワックス等の分泌器官)から液体を大量に出し、ゴールの傷口に付着させます。液体は白く固まり、壁になります。液体を出した個体は小さく萎みます。
さらに、この過程では壁に塗りこまれてしまう個体もいるのです!
角状管から出される液体は血リンパ(昆虫の体内を循環している体液)であり、このアブラムシでは独特の形態をした細胞が血リンパ中に満ちています。ゴール修復を行った個体の切片を作って観察を行うと、この血液細胞の殆どが放出されていることがわかります。
昨年の動物学会では、さらに突っ込んだ生化学的、分子生物的な解析が行われた成果が発表されていました。今後の発展が楽しみです。それにしても壮絶な自己犠牲ですね。
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