
ああ、血の匂いがする。誰かがまたやられたのだ。
奴らが近くにいるに違いない。
戦って勝つことなどできない。そんなことをしてもやられるだけだ。
せめてあともう少し体が大きければ、何とか生き残ることができるかもしれないが。
しかし、敵は近くにいる。
ここは、じっくり隠れながら慎重に栄養を摂取するべきか、それとも思い切って急速に栄養を摂取して早く大きくなるべきか。いや、死んでしまっては何にもならない。
さあ、どうする?Urban, MRisky prey behavior evolves in risky habitats
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 10.1073/pnas Published online before print August 27, 2007
アメリカに生息するサラマンダー(サンショウウオ)のお話。マーブルサラマンダーは秋に繁殖し、春には幼生は大きくなっている。一方、スポッテッドサラマンダーは春に繁殖し、小さな幼生はマーブルサラマンダーのいる水溜りでは餌食になってしまう。
以前から、両者がいる地域ではスポッテッドサラマンダーの成長が早いことが知られていた。早く大きくなると食べられにくくなるため、このような進化が起こったと考えられている。
上記論文では、地域毎にスポッテッドサラマンダーの摂食速度が異なり、それはマーブルが存在する地域で速いこと、さらに同じ地域の個体であっても、マーブルの匂いのついた水を混ぜると摂食速度が増大することを報告している。天敵がいると大胆になるという、このような反応は実に意外である。生物進化の妙を改めて感じさせてくれる一本だった。
