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カテゴリ:その他論文
  • スペルミジンによる寿命延長
    [ 2009-10-16 20:13 ]
  • 二足歩行が人類の配偶関係を変えた?
    [ 2009-10-02 19:43 ]
  • 絶滅海棲爬虫類の性決定様式
    [ 2009-09-30 12:45 ]
  • コウモリを襲って食べるシジュウカラ
    [ 2009-09-10 12:09 ]
  • 線虫の生殖休眠
    [ 2009-09-01 20:54 ]
  • フラッシュグレネード
    [ 2009-08-27 12:53 ]
  • 海:生物による混合
    [ 2009-07-30 13:00 ]
  • 騒音が鳥に及ぼす影響
    [ 2009-07-29 12:54 ]
  • 競馬:騎手とのシンクロ
    [ 2009-07-17 20:46 ]
  • 鳥:森を守る
    [ 2009-07-13 20:24 ]


スペルミジンによる寿命延長



Induction of autophagy by spermidine promotes longevity.
Eisenberg T, Knauer H, Schauer A, Büttner S, Ruckenstuhl C, Carmona-Gutierrez D, Ring J, Schroeder S, Magnes C, Antonacci L, Fussi H, Deszcz L, Hartl R, Schraml E, Criollo A, Megalou E, Weiskopf D, Laun P, Heeren G, Breitenbach M, Grubeck-Loebenstein B, Herker E, Fahrenkrog B, Fröhlich KU, Sinner F, Tavernarakis N, Minois N, Kroemer G, Madeo F.
Nat Cell Biol. 2009 Oct 4. [Epub ahead of print]

スペルミジンはポリアミンの一種で加齢と共に減少する。上記論文ではまず酵母、線虫、キイロショウジョウバエ、ヒトの末梢血単核球の寿命がポリアミン投与によって延長することが示されている。

酵母ではスペルミジン合成能を持たない変異株は寿命が短縮したが、スペルミジン投与によりそのような表現型は救済された。変異型の酵母では活性酸素ストレスとネクローシスが増加していることが明らかとなった。

スペルミンジンの投与はヒストンH3のリジン残基の低アセチル化状態を誘導した。ヒストンの低アセチル化状態と寿命の延長との関連はこれまでにも示唆されている。

スペルミジンの投与は細胞の自食作用も促進した。自食作用とは細胞が飢餓にさらされたときに自らを分解して飢餓に耐える仕組みであるが、 細胞に感染した病原菌を分解する役割や、心不全や糖尿病を防ぐ役割があることも知られている。

なお、スペルミジンは納豆やチーズ、ヨーグルトのような発酵食品に多く含まれている。


by g-hop | 2009-10-16 20:13 | その他論文


二足歩行が人類の配偶関係を変えた?



二足歩行が人類の配偶関係を変えた? ナショナルジオグラフィックニュース

今週号のScience誌に掲載された論文に合わせた記事。面白い。ブログランキング参加の某ブログにあるような、素人が自分の都合に合わせてくみ上げた眩暈のするような空論ではなくて、こういう推定は面白いなあ。

なお、「直立歩行の樹上説」については以前にも紹介したので、そちらも合わせてお読みください。


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by g-hop | 2009-10-02 19:43 | その他論文


絶滅海棲爬虫類の性決定様式



Genotypic sex determination enabled adaptive radiations of extinct marine reptiles.
Organ CL, Janes DE, Meade A, Pagel M.
Nature. 2009 Sep 17;461(7262):389-92.

有羊膜類(爬虫類、鳥類、哺乳類)の卵は水中では発生できない。そのため、このグループの水棲種は陸上に上がって産卵するか、胚発生を胎内で完了させるかのいずれの繁殖様式を有する。

また、このグループでは二つの性決定様式が混在している。一つは環境温度によって性が決定されるタイプで、もう一つは遺伝的に性が決定されるタイプである。

上記論文の著者達はまず、現生の94種の有羊膜類のデータに基づく可逆ジャンプMarkov連鎖Monte Carloアルゴリズム(私はこれをあまり理解していないのだけれど)を作成し、この手法に基づいて現生種の性決定様式の予測が可能であるか否かを調べた。

その結果、卵胎生でありながら温度によって性決定がなされる珍しいトカゲの一種Eulamprus tympanumの性決定様式が温度依存性であることまで予測可能であることがわかった(ここが少しできすぎている気がするけれど、どうなんだろう)。

次に著者らは絶滅した海棲爬虫類(魚竜、首長竜、モササウルス類)の性決定様式を予測した。これらの爬虫類は子供を産むことが化石から明らかになっている。

解析の結果、海棲の3グループでは遺伝的性決定がなされていたことが示唆された。

ウミヘビの一種など、現生の海棲種で水中で出産するものは全て遺伝的性決定であることがわかっている。海水の温度は安定で、温度による性決定様式で性比を適当な数値に保つことは難しい。

絶滅した海棲爬虫類でも遺伝的な性決定様式が海中での安定した繁殖を担保するうえで重要であったというのは理にかなった話であると思う。


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by g-hop | 2009-09-30 12:45 | その他論文


コウモリを襲って食べるシジュウカラ




Great tits search for, capture, kill and eat hibernating bats

Péter Estók, Sándor Zsebők, Björn M. Siemers
Published online before print September 9, 2009, doi: 10.1098/rsbl.2009.061

シジュウカラが越冬中のコウモリを殺して食べるという衝撃的な報告。

以前に上野動物園で猛禽の檻に入って肉を啄ばんでいるスズメを見て、感心すれば良いのか呆れれば良いのか迷った記憶があるのだけれど、まさかシジュウカラがコウモリを襲って食べるとは思わなかったので驚いた。

なお、報告にあるのはシジュウカラのヨーロッパ亜種で、日本のシジュウカラよりもずっと大きい。体格的に日本のシジュウカラはコウモリを襲って食べられるとは考えにくいので日本のシジュウカラに対するイメージを変える必要はないと思う。




by g-hop | 2009-09-10 12:09 | その他論文


線虫の生殖休眠




Starvation Protects Germline Stem Cells and Extends Reproductive Longevity in C. elegans.
Angelo G, Van Gilst MR.
Science. 2009 Aug 27. [Epub ahead of print]

モデル生物として有名な線虫Caenorhabditis elegansにおける「第二の休眠」の報告。

C. elegansは成長に不適当な環境下ではdauerと呼ばれる耐性幼虫になって長期間を過ごすことが知られており、その分子機構についても多くの報告が存在する。

上記論文の著者らは成体になったC. elegansも餌の乏しい条件下では生殖細胞系をアポトーシスによって縮退させて寿命を延長し、その後に餌が利用できるようになると急速に生殖幹細胞から生殖細胞系を発達させて生殖を開始することを報告している。この生殖停止には飢餓のセンシングに関与する核受容体NHR-49 が必要であることも明らかになった。

超有名なモデル生物で、こんなに重要な生理現象が報告されていなかったことに驚く。





by g-hop | 2009-09-01 20:54 | その他論文


フラッシュグレネード



Deep-sea, swimming worms with luminescent "bombs".
Osborn KJ, Haddock SH, Pleijel F, Madin LP, Rouse GW.
Science. 2009 Aug 21;325(5943):964.

鰓の一部を変化させた「発光爆弾」器官によって敵から逃れると考えられる遊泳性の多毛類に関する報告。これらの多毛類は太平洋の深海から見出され、これまで知られていなかった新規のクレードを形成するらしい。

発光による眼くらましはイカなどで既に知られているが、カプセル状の器官を切り離した後で破裂し光を放つというのがユニーク。爆弾というよりは閃光手榴弾に近いか(画像はこちらのニュースから)。


←応援宜しくお願いします。
by g-hop | 2009-08-27 12:53 | その他論文


海:生物による混合



今日発行のNatureの表紙になっている論文。

A viscosity-enhanced mechanism for biogenic ocean mixing
Kakani Katija & John O. Dabiri
Nature 460, 624-626 (30 July 2009)

海の水は様々なスケールで動いている。海流のような海水の大きな移動は地球レベルでの気候変動や栄養の移動といったイベントと関連している。海流同士がぶつかるところは良い漁場であることからも明らかなように、海洋生物にとって海水の移動は重要な環境要因の一つだ。

一方、生物が海水の移動に関与しているという考え方も古くから存在した。例えば動物プランクトンの大規模な集団の周辺では海水の移動が影響を受けているという実測データが存在している。しかし、これが本当に動物が海水の移動に影響したと考えて良いものかどうか、議論が続いているようだ。

上記論文では50年以上前にチャールズ・ダーウィン(進化論のチャールズ・ダーウィンの孫)が提唱したモデルについて検討を行い、さらに海中のクラゲを用いて実際の生物による海水の移動のインパクトについて検討した。

その結果、動物プランクトンからクジラに至る様々なサイズの移動す海洋生物が海水の混合に関与している可能性が示された。

論文の図にはクラゲに囲まれた著者が大きく写っている。こういう論文も珍しい(というか初めて見た気がする。マスクをしているからわからないけれど美人さんなんじゃないか)。

生物が海をかき混ぜている。なかなかイメージできないような、しかし、そういうことも起こっていそうな、何となくロマンチックな論文。


←そんな結論でいいのか。
by g-hop | 2009-07-30 13:00 | その他論文


騒音が鳥に及ぼす影響



Noise Pollution Changes Avian Communities and Species Interactions.
Francis CD, Ortega CP, Cruz A.
Curr Biol. 2009 Jul 22. [Epub ahead of print]

鳥類は視覚、聴覚に大きく依存した生物である。都市部において鳥類が人為的な騒音によってかく乱を受けている可能性は以前から指摘されていた。しかし、都市環境下では騒音の大きさはしばしば他の要素と関連しており、(例えば道路脇の騒音の効果について、それを排ガスや車自体の存在といった他の要素と切り離して考えるのは困難だ)、騒音が鳥類に与える影響というのは明確ではなかった。

上記論文の著者たちはユニークな環境に注目して騒音が鳥類のコミュニティーに与える影響について調査を行った。

フィールドに選ばれたのはメキシコに存在する天然ガスの採掘施設。採掘施設はパイプラインによって繋がっており、周囲は森である。

施設の中にはポンプを含むものと含まないものがあり、ポンプは大きな音を継続的に出している。

施設周辺の鳥類を調べることにより、騒音の影響を他の要因の影響をあまり受けることなく明らかにすることができる。さらに、ポンプを停止させてそれまで騒音に満ちていた環境を静かにすることによる影響も調べられた。

その結果、騒音の存在は鳥類の多様性を大きく減少させた。これは従前の予測どおり、騒音は鳥類に負の影響を与えるためであると考えられる。

しかし、ノドグロハチドリやメキシコマシコのような一部の種は騒音環境を好んでいた。

ノドグロハチドリは人為的な騒音よりも高い音域で鳴くことから、彼らのコミュニケーションにポンプの騒音はあまり影響しないらしい。また、メキシコマシコは騒音に反応して、騒音の影響を小さくした歌を歌うことができるようだ。

一方、これらの鳥の天敵(主に卵を食べる)であるアメリカカケスのような鳥は騒音を嫌う。そのため、ノドグロハチドリのような騒音を好む小型の鳥は騒音環境を選択することによって天敵を避けることができると考えられる。

以上の結果は騒音が鳥類のコミュニティーに大きな影響を与えることを示しており、今後、鳥類の保全を考える上で重要な論文になるだろう。

気になるのは騒音環境をどのように選択しているのかという点だ。天敵が少ない環境を選んでいるのか、それとも既に騒音そのものを好むようになっているのだろうか。


←引き続き応援よろしくお願いします。
by G-hop | 2009-07-29 12:54 | その他論文


競馬:騎手とのシンクロ



Modern Riding Style Improves Horse Racing Times
Thilo Pfau, Andrew Spence, Sandra Starke, Marta Ferrari, and Alan Wilson
Science 17 July 2009: 289.

競馬のタイムというのはマティーニグラスと呼ばれる近代的な乗馬スタイル(写真はこちら。)になってから飛躍的に短縮された。

著者らはこのマティーニグラススタイルをとる騎手がどのようにして体を動かしているかを解析した。その結果、馬にかかる荷重を最低限にするために騎手は馬の体の動きに合わせて激しく動いていることが明らかになった。論文にある馬と騎手の動きの連動を示す図は美しい。動物と人が完全にシンクロナイズ(馬だって騎手に合わせているのだろうから)する美しさがそこには示されている。


←読者との連動により前に進めます。
by g-hop | 2009-07-17 20:46 | その他論文


鳥:森を守る



Serengeti birds maintain forests by inhibiting seed predators.
Sharam GJ, Sinclair AR, Turkington R.
Science. 2009 Jul 3;325(5936):51.

タンザニアのセレンゲティで長期にわたって森林と鳥の動態、そして樹木の種子の発芽について調査した結果をまとめた論文。

ある地域における樹木の減少は果実食の森林性鳥類の現象を招く。森がなくなって森林性の鳥が減るのは当たり前なんだけれど、、森林と鳥類の現象は同時に種子の発芽率の低下とも相関していた。種子の発芽率の低下は種子を加害するキクイムシによるものであり、果実として鳥に食べられ、その後に排出された種子では食べられていないものに比べて加害率が低かった(鳥に食べられていない種子は68~92%が虫に加害されていたが、食べられた種子では5%以下)。

以上の結果は森林性の果実食の鳥が生息環境としての森林を必要としているだけではなく、森林の維持にも重要であることを示している。鳥が森に守られているだけでなく、鳥も森を守っていたというのが興味深い。


応援よろしくお願いします。
by g-hop | 2009-07-13 20:24 | その他論文

    

とある昆虫研究者のメモと日記。主に面白いと思った論文の紹介をしています。リンクフリー。コメント大歓迎。
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