クジャクは綺麗なだけではなく、凄い能力を持っているというお話です。この文章は一般の方向けに書きました。
Peacocks lek with relatives even in the absence of social and environmental cues Nature 401, 155 - 157 (09 September 1999);
クジャクの雄にみられる美しい尾羽は雌に対して性的に訴えかける信号であると考えられています。実際にクジャクが雌に性的なアピールをするときは、雄同士が集まる(繁殖のためのこの集団をレックといいます)ことが知られていて、複数の雄が一斉に羽を広げて雌にアピールします。ところが、レックの中で実際に交尾できるのは優位の雄のみです。あとの雄は飾りというか何というかそのままでは子孫を残せません。
昔のTV番組では「種のための犠牲」なんて言葉が良く使われていましたが、人間以外の生物も人間同様、赤の他人のために自分を犠牲にしたりは一般にしないものです。
そこでイギリスの公園に放し飼いにされているクジャク(インドクジャク)のレックを調べてみると、レックを構成する雄同士は血縁関係が深いことがDNAの情報からわかりました。
私がこの論文を読んだのはもうだいぶ前ですが、ここまで読んだとき「うんうん。そうだろうね」と思ったものでした。赤の他人のためにはクジャクは頑張らないわけです。
驚いたのは次の実験結果です。
次の実験では兄弟は卵のうちに離れ離れにされ、他人と一緒に育てられます。そして、大きくなったある日、公園に放たれたのです。
個々の雄は一緒に育った他人ではなく会ったことの無い血縁者とレックを形成しました。このことはクジャクが会ったことの無い血縁者を認識することができるということを示しています。もう一つの可能性として、血縁者同士は生まれつき同じような場所を好むということも考えられます。しかし、親がレックを形成していた場所と子供達がレックを形成した場所は異なっていましたので、その可能性は高くないと考えられます。
どうやって血縁者が認識されるのかはこの論文の時点ではわかっていないようですが、凄い能力だと思いました。人間にもそういう能力があるかも知れませんね。街を歩いていて「他人のような気はしない人」がいたらそれはひょっとしてあなたの...。
追記:そういえばpeacock=クジャクだと思っていましたがpeacok=クジャクの雄であり、雌はpeahenというのですね。この論文を読んではじめて知りました。