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カテゴリ:クリプトビオシス関係
  • クマムシゲノム
    [ 2009-12-10 20:31 ]
  • 臍帯血細胞の乾燥保存
    [ 2009-04-22 18:53 ]
  • クマムシ:乾燥によるDNAのダメージ
    [ 2009-04-17 12:38 ]
  • 超高圧に耐える動物達
    [ 2009-04-08 19:12 ]
  • クマムシの論文読みました
    [ 2008-09-11 21:28 ]
  • クマムシ:宇宙からの生還
    [ 2008-09-09 12:57 ]
  • 乾燥体細胞核が胚発生を引き起こした
    [ 2008-08-20 18:58 ]
  • 乾燥耐性線虫のRNAi
    [ 2008-06-24 20:12 ]
  • ネムリユスリカのHP
    [ 2008-04-17 20:06 ]
  • ヒルガタワムシ:1000Gyを浴びても繁殖
    [ 2008-03-27 18:15 ]


クマムシゲノム



クマムシのゲノム解読=固有遺伝子多数、乾燥耐性解明へ-東大など

前のラボで一緒だったH君はヨコヅナクマムシ(当時はツメボソヤマクマムシと呼んでいたはずだが、ヨコヅナの方がカッコ良いから変えたんだろうw)の飼育法確立のために日夜頑張っていた。

ヨコヅナクマムシはオニクマムシのように可愛くないのが大きな難点だと思うが、研究をする上ではむしろ好ましい形質と言えるかも知れない。


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by g-hop | 2009-12-10 20:31 | クリプトビオシス関係


臍帯血細胞の乾燥保存



Freeze-Drying of Mononuclear Cells Derived from Umbilical Cord Blood Followed by Colony Formation

臍帯血細胞の乾燥保存に成功したことを報告している論文。著者ら以前のエントリで紹介したように羊の乾燥細胞の核からクローンを作り出すという方法で核の乾燥保存に成功したグループである。

ポイントは凍結乾燥するときの凍結速度を最適化したことと、緑茶に含まれる強力な抗酸化物質、Epigallocatechin gallate (EGCG)とトレハロースの混合溶液を用いて凍結した点。この方法によりフレッシュな臍帯血細胞からのコロニー形成能と比肩するだけのコロニー形成能を乾燥細胞で実現している。

凍結による保存はコスト面の問題と災害に弱いという問題を抱えている。乾燥保存であれば両方の問題は解決されるだろう。ヒト臍帯血という実用的に重要な細胞を用いて乾燥保存に成功した意義は大きい。

しかし、今回の論文の乾燥法ではガラス転移点の中点が11.84°Cと低く、常温での乾燥保存には向いていないようだ。いずれにしても真核細胞の乾燥保存の実用化には大きな前進であると感じる。他の細胞も同じ手法で乾燥保存可能なのか、続報が待たれるところだ。


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by g-hop | 2009-04-22 18:53 | クリプトビオシス関係


クマムシ:乾燥によるDNAのダメージ



DNA damage in storage cells of anhydrobiotic tardigrades.
Neumann S, Reuner A, Brümmer F, Schill RO.
Comp Biochem Physiol A Mol Integr Physiol. 2009 Apr 7. [Epub ahead of print]

クマムシやネムリユスリカのような動物はカラカラに干からびても死なず、その後に水を加えると速やかに動き出す。乾燥によって誘導されその後の加水によって生き返ることの出来る無代謝状態はアンヒドロビオシスと呼ばれる。

このブログでも度々紹介してきたように、アンヒドロビオシス状態にある生物が高温、低温、放射線、超高圧といった苛酷な環境にも耐える。このような事実から導き出されるアンヒドロビオシス状態にある生物の一般的なイメージは「グレートで」「アンビリーバブルで」「ちょーかっこいい」といったようなものだろう。

ところが、以前からアンヒドロビオシス状態にある生物が乾燥中に相応のダメージを受けているのではないかと考える結果が得られていた。一番判りやすいのは乾燥期間が長くなると再加水後に「生き返る」個体の割合が減少していくという事実である。完全に乾燥し、「生物ガラス」状態になっても何らかの過程が進行して生存率を低下させるのだ。

上記論文ではコメットアッセイを用いてクマムシの一種が乾燥中に受けるDNAダメージについて報じている。
コメットアッセイは水和状態、あるいは一定期間乾燥させたクマムシから細胞を取り出して行われた。

その結果、乾燥後二日目くらいまでは水和状態とDNAダメージの程度にほとんど違いが見られないのに対して、乾燥期間が長くなるにしたがってダメージが大きくなることが明らかになった。また、加水後にもダメージが大きくなることが明らかになった。

DNAダメージの原因として著者らは活性酸素を考えている。しかし、自由水が欠損した状態で活性酸素が核酸にダメージを与えるかどうかは今後さらなる検討が必要だろう。

放射線耐性細菌では乾燥、あるいは放射線によるDNAダメージは強力な修復系により速やかに回復することが明らかになっている。アンヒドロビオシス可能な動物では修復系の実体についてはほとんど判っていないが、修復系が乾燥耐性を実現するための一つの鍵であることは間違いないだろう。


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by g-hop | 2009-04-17 12:38 | クリプトビオシス関係


超高圧に耐える動物達



High hydrostatic pressure tolerance of four different anhydrobiotic animal species.
Horikawa DD, Iwata K, Kawai K, Koseki S, Okuda T, Yamamoto K.
Zoolog Sci. 2009 Mar;26(3):238-42.
PMID: 19341346 [PubMed - in process]

オニクマムシ、ネムリユスリカ、線虫の一種、アルテミアの卵が水和状態で12000気圧かけると全滅するけれど、乾燥状態なら全然死なないよ、ということを報告している論文。12000気圧というのは12万メートルの海底に相当する圧力だが、そんな深い海はもちろん地球上に存在しない。

生卵であれば6000気圧くらいの圧力でタンパク質が変性し、ゆで卵のようになる(が、熱変性とは違うのでゆで卵とはまったく違う味)ので、12000気圧というのは生命にとって大変に苛酷な環境だ。これまで6000気圧にクマムシが耐えるという論文は出ていたが、他の乾燥耐性のある動物も含め、その倍の圧力でも平気であることは驚きであった(その後、クマムシはさらに高圧でも耐えることを口頭発表で知ったが未だ論文にはなっていない様子)。

実はこの論文は私がラストオーサーのYさんとつくば市のくたびれた焼き鳥屋で知り合ったのがきっかけで始まり、実験そのものは一日で終わった。

つくばに行く前はつくば市の居酒屋というのは研究者でごった返し、激しく研究の議論でもしていそうなイメージを持っていたが、実際はもちろんそんなことはなかった。

そんな中で場末の焼き鳥屋での出会いをきっかけに完成したこの論文は貴重な一本だと思う(笑)。

記事を書いていたらあのでかいカシラ串をまた食べたくなってきた。


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by g-hop | 2009-04-08 19:12 | クリプトビオシス関係


クマムシの論文読みました



先日紹介したクマムシの論文を読んだので改めて紹介。

Tardigrades survive exposure to space in low Earth orbit
Current Biology, Vol 18, R729-R731, 09 September 2008

二種類の乾燥した状態のクマムシを載せたカプセルは10日間低軌道を周回した後に地球へ帰還した。宇宙への暴露は容器に入れて行われたが、容器には「ventilation hole(笑)」が空いていて宇宙へと繋がっている。また、クマムシは紫外線を除去するフィルター(極短波長の紫外線は通さないものと、通すもの)によって守られるか、あるいは光そのものを遮断した状態で暴露された。

その結果、驚くべきことに、低軌道の真空そのものはその後の生存に影響しなかったが、紫外線に暴露されると生存率が著しく低下することが明らかになった。また、参加された卵は親が紫外線にさらされた場合でも対象区と同じように孵化した。以上の結果は動物が低軌道の宇宙環境に耐えることを初めて示すものである。

パンスペルミア仮説では生命の起源を宇宙に求める。低軌道域で短期間とはいえ動物が問題なく生存できたことは、宇宙が動物にとって越えられない壁であるとは限らないという可能性を示す。

ロマンチックだなあ。




by g-hop | 2008-09-11 21:28 | クリプトビオシス関係


クマムシ:宇宙からの生還



Tardigrades become first animals to survive vacuum of space

クマムシが宇宙空間への暴露から生還したというお話。Current Biologyに載るようだ。これは動物としては初めての宇宙空間暴露からの生還である。論文が出たら改めて紹介したい。


by g-hop | 2008-09-09 12:57 | クリプトビオシス関係


乾燥体細胞核が胚発生を引き起こした



Freeze-Dried Somatic Cells Direct Embryonic Development after Nuclear Transfer

羊の顆粒膜細胞をトレハロース入り培地で凍結乾燥させ、除核した卵母細胞に移植すると胚発生が起こったということを報告している論文。

精子については既に乾燥保存して卵に打ち込むと発生が起こることが示されていた。しかし、精子というのは含水量がもともと少なく、転写も基本的に起きておらず、構造タンパク質にDNAが保護された小型の細胞である。また、血小板については乾燥保存が可能であるがこれは無核である。

上記論文の著者らは最近、熱処理して「死んだ」顆粒膜細胞の核でも卵母細胞に移植すると発生が起こることを見出し、今回の研究に踏み切ったようだ。

精子の凍結乾燥のときと同じような方法ではDNAダメージが大きく、乾燥した顆粒膜細胞から移植した核は胚発生に至らなかった。しかし、トレハロースを含む培地を用いて凍結乾燥させた場合には、イスラエルからイタリアに普通郵便で郵送して(笑)、常温での三年間保存しても、水戻し後に取り出した核は胚発生を引き起こした。ハラショー。

乾燥細胞核と乾燥させていない細胞核は移植した後にほぼ同率で胚発生を引き起こすというのも素晴らしい。ただし、ダメージは観察されるし、胚からクローンが得られる率も少し低い。

興味深いのはコントロールでは見られないダメージが乾燥核のコメットで見えるのに、胚発生率はコントロールとあまり変わらないという点である。著者らはこれをDNAダメージを修復する能力が卵母細胞で高いことを示唆するものとして捉えている。


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by g-hop | 2008-08-20 18:58 | クリプトビオシス関係


乾燥耐性線虫のRNAi



Shannon AJ, Tyson T, Dix I, Boyd J, Burnell AM.
Systemic RNAi mediated gene silencing in the anhydrobiotic nematode Pangrolaimus superbus.
BMC Mol Biol. 2008 Jun 19;9(1):58. [Epub ahead of print]
PMID: 18565215 [PubMed - as supplied by publisher]

タイトルをみて戦慄。

Pangrolaimusに属する二種でC.elegansと同じくらいRNAiが効いたよ、ということを報告している論文。このグループはアンヒドロビオシスに入ることができる複数の種を含み、さらに乾燥耐性の程度が様々である。また、動物で唯一、細胞内凍結に耐えると呼ばれるP.davidiを含んでいる。

だから、この属でもfeeding法によるRNAiが効く、ということは非常に重要ではあるのだけれど、肝心のストレス耐性遺伝子のRNAiを行わずに論文にしちゃうのは如何なものかと(笑)。一方でタイトルを見て戦慄した気持ちが少しだけ和らいだのも事実。しかし、取り扱いが容易な材料だけにこれからどんどんデータを出していくのだろうなあ。


by g-hop | 2008-06-24 20:12 | クリプトビオシス関係


ネムリユスリカのHP



昨日からアクセス数が急上昇している。ヒアリハットが面白かったのかとも考えたが、まあそんな筈はない。で、ちょっと探ってみたら原因は簡単に判った。

ネムリユスリカの擬人化by しょこたん。

ネムリユスリカは可愛いのだけれど、そういうイメージではないと思う。そんなんだったら殺して実験できません。

で、タイミング良く前の職場からホームページ開設の連絡が入った。

ネムリユスリカのHP


ネムリユスリカも有名になってきて、色々と誤ったイメージをもたれたり(上の絵がそうだといっているわけではない)、事実に基づかない情報が流れたりしている。上記のHPはネムリユスリカ研究グループが提供している、信頼性の高い情報であり、これまでマスコミ等でも報じられていなかった情報(宇宙の話とか)が掲載されているので是非、ご覧いただきたい。


by g-hop | 2008-04-17 20:06 | クリプトビオシス関係


ヒルガタワムシ:1000Gyを浴びても繁殖



Gladyshev E, Meselson M.
Extreme resistance of bdelloid rotifers to ionizing radiation.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Mar 24; [Epub ahead of print]
PMID: 18362355 [PubMed - as supplied by publisher]

ヒルガタワムシは著しい放射線耐性を持つという論文。アンヒドロビオシス可能な生物というのはたとえ乾いていなくても放射線に対する耐性が高いことが知られている。まあ、我々に比べれば昆虫は全体的に放射線に強いわけだが。

以前にネムリユスリカの放射線耐性に関する論文を二報紹介した。

ネムリユスリカ:驚異の放射線耐性

ネムリユスリカ:乾いていなくても放射線に強い


驚異的な放射線耐性を持つネムリユスリカではあるが妊性が失われる放射線量というのは高くはない。200Gyも浴びてしまうと妊性はなくなる。

上記論文ではヒルガタワムシが1000Gyを浴びても妊性を完全に失わないことを報告している。「核戦争後は昆虫が世界を支配する」、という話を聞くが妊性を失わないということまで考えると(というか考えなければいけないんだが)、あの可愛らしいロボットのようなヒルガタワムシの方がポテンシャルは高いということになるだろう。

不思議なのは「放射線により培地中に発生する有害物質の生成を抑えるため」としてL-システインを照射前に添加している点。細胞膜透過性の問題などもあるけれど、グルタチオンの前駆体となる物質の大量添加に「ドーピング」の文字が脳裏によぎってしまった(笑)。


by g-hop | 2008-03-27 18:15 | クリプトビオシス関係

    

とある昆虫研究者のメモと日記。主に面白いと思った論文の紹介をしています。リンクフリー。コメント大歓迎。
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